「テロリスト」の挽歌

俺は、「テロリスト」だ。
この響きに心が躍る。
通勤時間のピークが過ぎ、吊革を握る客が疎らになった電車。
TOKYOの電車は、ビルとビルの間を走り抜ける。
しかも、ビルの1、2階の窓を見下ろすから、見知らぬ会社内を覗き見ながら
次から次へと「ターゲット」を探す。
現れてはすぐに遠方に消えていく「ターゲット」。


視線を落とせば、ずらりと射撃訓練の的が並んでいる。
これは、機関銃で一気。横に一振り連射連射。
(映画なら ここで「快感」と言うのだろう。)


大手町の本社内の診療所で診療を受けるだけの週一のお勤め。
休職の身である。
産業医のリスク回避であろう。「眠れない」と言えば、即休職だった。
働かずして給与(休職手当)をもらう日々。


帰りの吊革が重い。いや 自分が重いのだ。
なんせ 機関銃を担いでいるからな。