狛犬探偵Ⅱ

天神山の神社。
狛犬はうんともすんとも・・いやワンともにゃんとも
答えてくれない。


どうやら留守のようである。
勝手に狛犬は「家」のようなものだと思っている。
きっと神さまがここに住んでいる(一時的借家かも)
それで外出する時もあるのだろう。


狛犬自体が神さまではないだろう。
その辺のところは教えてくれないのだ。
そもそも神さまならば、俺の手を借りずに散らばった神さま仲間を
探せ出せるだろう。


狛犬を名乗る「何者」かに騙されている?
神さまの悪戯のように遊ばれているかもしれないと疑うと
狛犬の顔が悪人に見えてくる。確かに。


境内を出ようとしたら猫がごろごろしていた。
眠そうな顔してる。
「にゃーーうん」


俺に気づいた猫の目と俺の目が合った。
「にゃーーおん?」と警戒しているように鳴くから
「にゃーーあん みゃーーおん」(大丈夫だ)と俺が答えた。
「にゃーーあん」と安心したかのように鳴く。
「にゃー」(何言ってるかわかんない)と言って笑ってしまった。


朱色の鳥居をくぐり、静寂が戻った神社を後にした。
「にゃーーうん」後ろの方で猫が鳴いた。
やはり 何言っているかわかんない。


他人が見たら
「男と狛犬」も「男と猫」も同じように見えるのだろう。
神事か妄想かは・・・・あなた次第です。